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今回も天皇陛下のルーティンのご公務について触れていきたいと思います。
連載第1回目に、「天皇の国事行為(こくじこうい)」について触れました。これは、憲法第7条に、「天皇が行う行為」として規定されているもので、今まで触れてきた「ご執務」などがそれにあたりました。この国事行為は他にもあります。
その一つが「栄典を授与すること」です。陛下は、春と秋に大綬章(だいじゅしょう)などの勲章親授式に臨まれます。令和7年5月9日には「桐花大綬章(とうかだいじゅしょう)」を受章した大島理森(さだもり)・元衆議院議長や菅直人・元総理大臣はじめ、「旭日大綬章」の12人、外国人叙勲の12人に正殿「松の間」で勲章を授与され、おことばをかけられました。また、この勲章親授式に関連して、「令和7年春の勲章受章者拝謁・お礼言上」という式に5月中に6回も臨んでいらっしゃいます。これは、令和6年の秋の場合も、同じ回数、臨まれていました。
「国事行為」の中には「外国の大使及び公使を接受すること」というものもあります。直近の令和7年3月~5月には、離任するラオスとウクライナの大使と御所でお会いになっています。
以上、3回に渡って、「国事行為」に関連した陛下のルーティンのご公務について触れてきましたが、その他に、外国の要人とのご会見といったことも入ってきます。特に、現在、行われている大阪万博のように海外の要人が来日する機会が多くなると、会見の回数も増えてきます。令和7年3月~5月でいえば、国賓として来日したブラジル大統領夫妻や公式実務訪問したイタリア大統領はじめ15か国の大統領や王族と会われているのです。
そういったルーティンのご公務に併せ、式典などへのご臨席や、地方ご訪問、さらには海外ご訪問もあります。また、そういったことのためには、それなりの準備が必要です。そのために、前もって「ご進講」や「ご説明」を学者なども含めて受けていらっしゃいます。その回数は、令和7年3月~5月の間に8回に及んでいます。
都合3回に渡って、陛下の日常のご公務についてその概略を説明してきました。この概略からしても、天皇陛下はお忙しいと分かるのではないでしょうか。なお、陛下のご公務の種類ごとのご日程は、季刊誌「皇室」に毎回、掲載していますので、ぜひ、その内容をお確かめいただければと思います。
さらには陛下は、日常、宮中祭祀というものにも臨んでいらっしゃいます。次回は、その内容に触れたいと思います。
第2回(前回)はこちら https://nihonbunka.or.jp/column/koushitsu/detail/100714
第1回 https://nihonbunka.or.jp/column/koushitsu/detail/100713