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皇室と動物ーその6 御所のタヌキ

『皇室』バックナンバーより 第27回
令和8年9月25日
第26回に引き続き、皇室と動物とのかかわりについて紹介する。
(98号より)

 平成20年(2008)6月、上皇陛下は皇居に生息するタヌキについての論文を発表された。「皇居におけるタヌキの食性とその季節変動」と題された論文は、上皇陛下が国立科学博物館の研究者ほか4名と共同研究・執筆されたもの。日本人にとってタヌキは古くからなじみのある動物だが、都市化に伴い、東京都心部では、その姿が見られることがなくなっていた。 それが1970年代頃から皇居内の警備にあたる皇宮警察職員が目撃するようになり、90年代に入るとその回数が増加。1996年から2000年に行われた国立科学博物館による生物相調査の結果、皇居内にタヌキが定住している可能性が高いことがわかってきた。




 タヌキには特定の場所で排便する習性があり、そのような場所には「溜め糞」が残される。上皇陛下はじめ研究者らは、平成18年(2006)4月から翌年12月にかけて、皇居内で確認された30か所の溜め糞を調査し、その分析から、タヌキの食性と季節変動を推測。その結果、多雨期の皇居ではオサムシやコガネムシなどの昆虫や、ムカデ、カタツムリ、植物の実やササの葉などを主に食べていることが判明した。また別の調査から、皇居には最低でも6頭のタヌキが生息していることが確認され、豊かな自然環境を保持している皇居には、複数のタヌキが生息できるだけの自然の食糧が十分にあることがわかった。

 この論文を受け、国立科学博物館では平成20年(2008)7月から8月にかけて「皇居のタヌキとその生態」と題したパネル展を開催。ちょうど夏休み期間中だったこともあり、会場は親子連れなど多くの来場者でにぎわった。
 なお国立科学博物館は皇居と赤坂御用地での生物調査を継続的に行っている。鳥類の調査には黒田清子さん(紀宮殿下)も参加しており、令和4年にはともに大型の猛禽類であるオオタカとフクロウが、皇居と赤坂御用地で同時期に繁殖していることが確認された。皇居は、動物が都心に回帰するきっかけをも提供しているのである。

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