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「修理後大公開! 静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」
令和7年10月16日


 大阪・関西万博2025にちなみ、静嘉堂文庫美術館が、国宝3件・重要文化財17件・重要美術品10件(うち修理後初公開10件)、20世紀初頭の博覧会出品作20件余りを一挙公開しています。
 静嘉堂は、岩﨑彌之助(1851~1908/三菱第二代社長)と岩﨑小彌太(1879~1945/三菱第四代社長)の父子二代によって創設・拡充されたコレクションですが、本展では同美術館の誇る逸品が展示されています。
 10月3日、その内覧会に行ってきました。



 見どころは4つ。今回の展覧会が大阪万博を記念するものであることから、まずは岩﨑家と博覧会とのかかわりがわかる作品が出展されています。実は彌之助と小彌太は、1900年(明治33)パリ万国博覧会、1910年(明治43)日英博覧会をはじめとして数多くの万博に作品を出品しており、1970年(昭和45)の大阪万博でも合計7件もの名品を出品しているのです。おそらく、日本や東洋の美を代表するような良品を所蔵していたので協力を要請されたのでしょうね。








 2つめは修理後初公開となる12件の作品です。このうち10件は、冒頭にも紹介したように重要文化財(8件)、重要美術品(2件)の指定を受けています。
 東洋画は、紙や絹に墨や染料や顔料を用いて描かれているため、百年に一度、手当を必要とすることから、静嘉堂では、貴重な文化財を後世に伝えるべく、指定品を中心に修理事業を継続しています。今回は、修理を経て美しく蘇った作品12件が初めて公開されます。修理についてのコラムも掲示されていました。

 3つめは菊池容斎の巨幅と重文の水墨山水図屛風です。菊池容斎(ようさい)は歴史画の先駆者で、前期は中国の故事を題材にした2×1.5mの巨大掛軸が2幅出品されていますが、そのうちの「呂后斬戚夫人図(りょこうざんせきふじんず)」のテーマがちょっとショッキングで(中国後宮の残虐事件の筆頭であるとも言われ、知る人ぞ知る「ヒトブタ」の刑が描かれているのです!)、思わず食い入るように見てしまいました。
 隣には明時代の画家・謝時臣(しゃじしん)の四幅対があり、こちらも大迫力でした。後期は、近年修理を終えた二つの重要文化財の屛風、伝周文(しゅうぶん)「四季山水図屛風」と式部輝忠(しきぶてるただ)「四季山水図屛風」の競演が見られるそうです。





 4つめは、静嘉堂ならではの作品の展示です。前期は文人画家・渡辺崋山(1793-1841)の名幅「月下鳴機図(げっかめいきず)」(修理後初公開)と、それを小彌太が丁寧に摸写し、松方正義(1835-1924)が詩を添え、双幅とした作品が展示されていました。同じ展示室では、静嘉堂の誇る国宝の茶碗「曜変天目(ようへんてんもく)」(1970年大阪万博に出展)も公開されています。



2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)開催記念
修理後大公開!
静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝

会期 2025年10月4日(土)~12月21日(日)
[前期]10月4日(土)~11月9日(日)
[後期]11月11日(火)~12月21日(日)
*前後期でほぼ全作品入替
会場 静嘉堂文庫美術館(東京都千代田区丸の内2-1−1 明治生命館1F)
※詳細は下記公式サイトへ
https://www.seikado.or.jp/exhibition/current_exhibition/
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