読みもの

連載 方言「知らんけどね」

第8回「もんた」伊予弁
令和7年10月16日
 

「もんた」と聞くと、反射的にかすれ声の「♪ダンシンオールナイ~」が脳内でリフレンされてしまう昭和の民の皆さん、伊予弁の「もんた」は次のように使います。
 子供「ただいまー! もんたよ!」
 家にお父さんがいたとすると、「おー、もんたか!」とか「おー、もんてきたか!」と応えて、いそいそと出迎えるかもしれません。お母さんなら「おかえり~。ようもんてきたね」かな? アクセントは「も」。そうです、あのシンガーと同じ発音です。
 もう、おわかりでしょう。「もんた」は「戻った」「帰った」という意味なんですね。「もんてきた」となると、「戻ってきた」「帰ってきた」という意味になり、より動きが強調されるニュアンスが加わります。 
 帰ってくる時間を訪ねる場合は「いつ、もんてくるん?」となります。過去形だと「いつ、もんてきたん?」ですね。
 命令系なら「もんてこい!」です。
 地域によっては「もんちきち」と言うところもあるようです。これはカワ(・∀・)イイ!! 
 ネット情報によれば、「もんちきち」を使うのは、松野町(愛媛県の西南部に位置し、高知県と境を接する山間の町)。松野町では、「行って戻ってきた」を「いっちきち、もんちきち」と言うようです。可愛らしくてたまんないですね!
(文/おかだなおこ)

前回はこちら https://www.nihonbunka.or.jp/column/yomimono/detail/100720
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