読みもの

連載 方言「知らんけどね」

第9回「くくりぼし」伊予弁
令和7年10月23日


第9回「くくりぼし」(伊予弁)

 この言葉、「次の伊予弁、どないしょー」と考えている時に、とあるブログで見かけて、見かけた瞬間に震えがきました。懐かしい……懐かしすぎます。子供の頃によく聞いたなあ…。
 この言葉は伊予弁の中でも超マイナーかもしれません。私も家族以外が使っているのをあまり聞いたことがないのですが、それは使うシーンが家庭内であることが多いからかもしれません。
 使われる場面としては次のような会話においてですね。
お母さん「お父さん、このくくりぼし、固いんよ」
お父さん「ほんとじゃなあ。このくくりぼし、固いなあ」
 「くくりぼし」は糸や紐の結び目のことなんです。上の会話は、結び目が固くて、お父さんの力をもってしてもなかなかほどけないという内容ですね。
 「くくりぼし」の「くくり」は「くくる」なのでわかりやすいですが、「ぼし」はなんなんでしょう? 「星」に「小さな点」という意味があるようなので、そこからきたのでしょうか? それとも「ぶし」→「節」でしょうか? こっちのほうが正しそうですね。
 ただの結び目なのに、「くくりぼし」となるといきなり物語チックになって、ほどき始めた途端にもくもく白い煙が立ち上り、異世界に転生してしまうような気がしないでもありませんねー。
(文・おかだなおこ)

前回はこちら https://www.nihonbunka.or.jp/column/yomimono/detail/100721
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